近年、児童養護施設に入所している児童数は減少傾向にあります。児童数は減少しながらも施設の設置数は横ばい状況にあり、また高い専門性が求められている昨今から、施設のアップグレードが急務となっています。
しかし組織の急な変革に伴い、旧来のマネジメントでは対応できないことも予測されます。
今回は児童養護施設の組織力の課題を振り返り、施設が生き残るためのマネジメントの重要性をご紹介します。
児童養護施設におけるマネジメントの課題
生存バイアスで形成されてきたノウハウ

地方や都市部での差はあるものの、これまで一定的に児童入所がされてきた児童養護施設では、一般社会における生存競争に悩まされることなく、事業所が運営されてきました。
その中で伝統的に職員育成が形成され「うちの施設はこうしてきた」「先輩にこう指導されてきたから」「カンファレンスの出席は3年目からが当然」など、根拠のない指導や組織形成がまかり通ってきました。
しかし時代は変わり、過去のノウハウでは対応できないほど児童対応は複雑化し、トラウマケア・家庭支援・アフターケア・アドボカシーといった様々な要因を取り込み、高度なケアを行うことが必要となっています。
過去に囚われたマネジメントを継続していると、求められる要素を事業所が取り入れられず、衰退し施設が失くなる=子どもの居場所が喪失される可能性が高まります。
柔軟なキャリア形成による職員の喪失

既知の通り終身雇用という時代は終わり、個々人が望むキャリアビジョンが多彩になってきました。
「ここでなら成長できる」「望むキャリアがある」「事業所の方針に賛同している」など、価値観が柔軟になっていることで、人材の流動は全国的にも活発になっています。
管理職と十分なコミュニケーションの末に行われる健全な退職は問題ありませんが「第三者評価を重要視しない」「退職理由を軽視する(辞める方が悪い)」などが起こると、非常に凝り固まった悪質な職員だけが組織に残り、柔軟な思考を持った職員の喪失が加速、採用がままならなくなるという結果に陥ります。
逃げ切り世代と諦め世代

先述の通り、これまでの施設運営では淘汰されていく施設が必ず発生します。事業所を擁する法人が新たな事業展開、積極的な組織改善を実施しなければなりませんが「居心地の良さ」「働きやすい」だけを重視し、このまま退職までを何事もなく終えようとする法人運営勢と、もはや変化が望めないと諦め惰性で働いてしまう現場勢で構成されると、外部刺激が少ない児童養護施設では衰退の一途となることは避けられません。
マネジメント力が醸成されていない業界

マネジメントはとても専門的で深く、一朝一夕では獲得できないノウハウが詰まっている分野です。
組織課題に対して即効性を求めるあまりワークマネジメントに傾倒するも集団維持機能が低下してしまったり、ピープルマネジメントを重視するも目標達成力は向上できないなど、マネジメントノウハウの一部分を取り入れても、組織改善は思うように進まないことがほとんどです。
入職後の育成プログラムの中にマネジメントに関する研修はあっても内容は十分ではなく、マネジメントスキルがないままマネージャーになるというのは、児童養護施設あるあるではないでしょうか。
マネジメントスキルを見つめ直し、組織改善を

人事とは「人をもって事を成す」ことであり、事業と組織の矛盾を解消することがその手法です。
現在の大小さまざまな課題を無視し続け「人材に充てる時間より子どもへの時間を」と考えていると、職員にかける時間は肥大化し、いずれ施設へ崩壊します。
マネジメントスキルを、現場職員からマネージャーまで経験に応じて習得し、マネジメント効率を最大化し、より高質なケアを子どもに最大限提供するために、マネジメントは必要です。
今後、マネジメントに関する課題を順次ご紹介していきます。
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