【児童養護施設のプレゼン力】習得しておきたいプレゼンのスキルをご紹介

児童養護施設 プレゼン 企画 提案

児童養護施設の職員は、子どもとの生活を共にするだけでなく、日々細やかな業務を行っています。その中のひとつに、児童相談所とのカンファレンス、支援団体との打ち合わせ、行事の企画などで、プレゼンをする場があります。子ども達との時間を濃厚に過ごしている立場だからこそ声を上げ、最善の利益のために尽力しています。とはいえ、声を上げて伝えることが上手くいかないこともあり、どうしたら良いのかと考え悩むこともよくあります。今回は、児童養護施設職員こそ持っておきたいプレゼン力についてご紹介します。

プレゼンが求められる場面と内容

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児童養護施設での業務中、現場職員が行うプレゼンの場面は、各ユニットを始めとした組織内の会議、児童相談所などの関係機関とのカンファレンス、支援頂いている団体との打ち合わせなどが主になります。

組織内では主に行事の企画、委員会の立ち上げ、業務の改善などがあり、関係機関とは子どもの支援に関する制度の利用、支援目標に対する施策の提案、支援団体とは互いのニーズにあった企画の提案が挙げられます。

子どもの状況をその目で見守っている現場職員からの情報は非常に信頼性があり、情報に溢れています。子どもが普段何を思い過ごしているのか、好きなものは?最近は何に夢中なのかなど、普段何気なく理解していることや子供の発言が、関係機関では大変重要な場合があります。これらの情報を的確に伝え、企画を提案することができれば、子どもにとってより良い利益を創出することに繋がります。

児童養護施設におけるプレゼン力の課題

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児童養護施設のみならず、一般企業においてもこのプレゼン力は高い技術が求められ、日々講習や業務で磨かれていくものですが、児童養護施設ではプレゼン力について学べる機会はそう多くありません。それは業界全体の体制や歴史が関わっています。

課題①:養成校での習得

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児童養護施設で働く際に必要な資格は幾つかありますが、基本的には保育士を始めとした教育・福祉に関する資格を有していることが条件となります。

養成校では児童福祉や教育に関する授業を受けていきますが、ビジネススキルとして必須なプレゼン力でも、子どもと直接関わる対応技術、また子どもに関連する法律などの知識を習得していく過程の中で磨かれることはほとんどなく、現場に飛び込んでいきます。

私は中途で養成校に入学、卒業して児童養護施設に入職していますが、プレゼン力はまっさらな赤子のごとく、磨かれていない石ころも同然でしたので、初めて企画を提案したときの「で、何を伝えたいの?」という白けた先輩職員の方々の空気が今でも忘れられません。

課題②:OJT

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現場内で先輩職員と業務を行いながら適切な教育を受けるOJTですが、上記の状況で高いプレゼン力を持つ職員は少なく、その先輩職員から手ほどきを受ける機会は、霞を掴むのに等しいほど難しいです。

さらに児童養護施設は業界全体的に人手不足の状況にあり、地域小規模や一部の体制以外ではワンオペで現場に入ることが常態化しています。十分なOJTを受ける余力がない施設では、スキルを磨くことは自助努力によるものが大きいですが、精神的、時間的な余裕が少ない現場職員では、こうした自己研鑽に充てることが難しい点も、プレゼン力を習得する上での課題となっています。

課題③:人材と業界の歴史

突出したビジネススキルを始めとした特化した能力を持つ職員を意図的に雇用されることは珍しく、主には養成校を卒業する新卒採用、福祉関係でキャリアを持つ中途採用で組織が形成され、現場に特化したスキルの向上は可能でも、マネジメント・プレゼン・リクルートなどのノウハウは蓄積されず、閉鎖的な組織環境が慢性的に形成されてきています。

こうした課題を解決するには、教育機関・福祉施設が福祉に重点をおいたスキル以外にも目を向け、育成していく土壌を作ることや、組織にある問題を抽出し、解決に見合う取り組みとして、コンサルティングやチームの形成、より特定の人材募集を行うことが求められます。

必要なプレゼン力

ここでは、より効果的なプレゼンを行うために必要な基本的なことをご紹介します。少しでもお役に立てれば幸いです。

スキル①:明確なテーマと目標を決める

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とても基本的なことですが、まずはここを押さえることが、プレゼン資料を作る上で重要になります。

例えば「子どもとキャンプに行く」という企画を提案する場合、子どもとの関係構築、レスパイト、アウトドアスキルの習得など、企画におけるテーマを決定し、キャンプをすることで得られる利益をプレゼンしながら、少しでもフランクに関係になる、悩みを聞いて明日への活力にするなど、子どもの状況が実施前と比べてどう変わるのかといった目標があると良いです。

一般企業で行われるプレゼンでは、明確な数字目標があるものですが、児童養護施設においては数値化しづらいことがたくさんあります。明確な数値化にこだわらず、子どもの利益の具体的な明示があると良いです。

スキル②:構成を考える

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資料を作って発表するのがプレゼンではなく、ターゲットにいかに上手く情報を伝え、必要性を理解してもらうには、順序が必要です。基本的な起承転結を始めとしたあらすじを作っておくことで、この先の資料作成がとても楽になります。項目ごとを資料からくる情報と口頭で提供する情報を整理し構成していくなど、当日のプレゼン内容をより具体的に構成できるようになります。

スキル③:どのソフトを使うか

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構成が決まったら、プレゼン方法を考えます。

口頭ではなく資料に目を通すために使用する文書(Wordなど)や、資料と口頭での説明を組み合わせるプレゼンテーション資料作成ソフト(パワーポイントなど)、表計算ソフト(エクセルなど)が挙げられ、場面によって使い分けます。

パワーポイントを使うのが一般的ではありますが、上司のみにプレゼンする場合、上司の方も多忙で資料を見て説明を聞くことが難しいときも珍しくありません。その場合はコンパクトに要点をまとめたWord資料を作って提供するのも有効です。

誰に、何時、どのようにプレゼンするのかを明確にしておくと、最適なソフトを選定することができます。

スキル④:ストーリーがある

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資料を提供して内容のまま伝えることは、作成した人以外でも可能ですが、内容に込められたストーリーをしっかり提供することで、魅力は大きく膨らみ、誰もが協力の手を差し伸べたくなります。

例えば「年末に子どもと映画を観に行きたい」という資料を作る時、予算やスケジュールに無理がないかを提示するのも大切だし、資料に沿って伝えればできることですが「この映画をAさんは半年も前から楽しみにしていて、友達や大人に語っていた」「◯◯さんと私の誕生日に観に行きたいと言っていた」など、計画を立てるまでのストーリーを語れることが大切です。

若手の頃、なんとか企画を通そうと焦っていた頃は、このストーリーを上手く語れず、内容自体に大きな問題はないものの、聞き手の芯に響かないプレゼンをしてしまい、不完全燃焼に終わったことが何度もありました。想いだけでも、技術だけでも駄目なんだということは、私のプレゼン力の土台になっています。

プレゼン力を磨いて子ども達の利益に繋げよう

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直接対応以外の業務で必須なスキルであるプレゼン力。子どもの想い、自分の想いを如何に上手く伝え、最善の利益としていくためには、企画のきっかけから効果といった理論的なことまで、様々な準備が必要となります。

プレゼンの当日はとても緊張するものですが、自分の想いと、それを伝えるための技術をしっかり身につけ練習しておけば、きっと満足のいく結果にたどり着けます。

是非、プレゼン力を磨いて子ども達の利益に繋げてくださいね。

北村一樹

児童養護施設職員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

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