
全国に600か所以上ある児童養護施設。そこには20,000人以上の子ども達が生活し、多くの職員が生活を支えています。子ども達と24時間を共にする数少ない職業である児童養護施設職員。採用募集は各施設で個性があり、求められる人材も様々です。今回は児童養護施設職員を目指す方へ、応募前のポイントで後悔なく施設を選ぶポイントをご紹介します。
目次
児童養護施設で募集している職種

児童養護施設では、主にケアワーカーである現場職員が随時募集されています。職員の割合は多く子ども達と直接接する職種であるので、児童養護施設職員で一番想像されます。
この他、現場職員とは異なる視点で子ども達をケアする心理士、運営を支える縁の下の力持ちである事務員、子ども達に美味しい食事を提供する調理員など、多様な職員を募集しています。
ここでは主に現場職員の採用についてご紹介しますが、どの職種も児童養護施設に欠かせないものでありながら、施設の運営方針に沿った働きが求められるので、職員採用はどの職種も個性ある採用試験が展開されることがあります。
募集時期

施設職員の募集は、私が入職した十数年前は、子ども達の年度のスタートである春からの勤務開始を目指して募集されることが多かったので、主に年末から1月にかけての応募が多かったですが、現在は随時募集されている施設が増えた印象があります。
これには地域小規模化の推進や養育の変化による人材確保が必要となった背景の他、少子高齢化を始めとした応募者数の減少による要因など多分に含んでおり、近年は売り手市場となっている傾向にあります。
応募前のポイント
ポイント①:なぜ児童養護施設で働きたいのか

児童養護施設職員は、24時間子どもに寄り添い、子どものニーズに応えていく職業です。とてもやりがいがある反面、常に自らを問われる過酷な職種でもあります。自らを問われるというのは、子ども達は職員を試す事をしますが、職員としてのあなたではなく、一個人としてのあなたを試します。そして毎日あっという間に終えていく仕事に追われると、いつしか自分自身を見失い、やりがいを見出だせなくなることもあります。
そんな時に大切なのは「なぜ自分は児童養護施設職員になったのか」であり、ここが揺るがない人は、多くの壁を乗り越え、1人前のケアワーカーとして成長することができます。かつて私は仕事を続けて3年ほど経過した時、自分を見失ってしまい、先輩職員に「なんで働いてるの?」と問われたことがあり、芯を突かれたその質問があったおかげで、今も職員を続けることができています。
仕事を応募する前に行うとても基本的なことですが、心身の負担が大きい児童養護施設職員にとっては、応募前に整理するべきとても大切なポイントになります。
ポイント②:運営方針

児童養護施設は、母体となる社会福祉法人、所在地などによって、様々な運営方針があります。
子ども達をケアする上で柱となる運営方針は子ども達のケアに直結するもので、支援をする上で特に重視すること、働き方、今後の運営計画などを掴むことができます。
「自分の個性を活かせる働きがしたい」「普段の食事を大切にしたい」「外の世界で積極的に経験して社会性を広げたい」など、職員を目指す方の想いはそれぞれであり、どんな施設でもフィットするものでありません。
自分がストレスなく子ども達と関わりケアしていくために、運営方針をしっかり把握しておくことは、採用後にお互いの齟齬が無いようにする大切なポイントです。
ポイント③:施設見学
採用応募の前に必ず行うホームページの確認。更新頻度、代表者のメッセージ(トップの意見を把握するのはとても大切)、施設の雰囲気を知る上でとても大事なことですが、児童養護施設職員の応募では、事前に施設見学が出来るならぜひ行っておきます。
施設の雰囲気を知るだけでなく、そこで働く職員の姿を見ることがとても重要で、意識されている施設酸の場合、現場職員の方とお話できる機会があったりと、より自分が働いた時のイメージが持てやすくなります。
ポイント④:募集要項

児童養護施設の現場職員は、非常に多くの仕事を1日で行います。生活を見守る力だけでなく、発達障がいから医療、家庭支援に関することなど、広範囲の業務を行うことも珍しくなく、配属された居室の構成によって、どの様なスキルが求められるかが決まることもあります。
大雑把な募集内容でなく、どんなスキルが必要とされるか、勤務後の展望など、細かく、かつ理解しやすく示されたものかどうかを確認しておけば、自分の能力を存分に発揮でき、採用後に不満なく勤務することができます。
採用試験時のポイント
自分らしさを表現できるように

採用試験は面接や論文など、施設それぞれの内容で行われるので一概に言えることではありませんが、子どもと共に過ごす仕事、ということは、チームメイトである職員とも、家族のような感覚で仕事をすることもあります。
時に同じ釜の飯を食べ、旅行となれば寝食を共にするチームメイトとは、家族以上の時間を過ごすこともあります。
自身のスキルやどんな貢献ができるかというのをプレゼンするのも大切ですが、ご自身の人柄を表現できるよう、自分のこれまでの人生を振り返っておき、人柄を伝えられるような準備をしておくと良いです。
後悔のない応募で子ども達に最善の利益を

児童養護施設で暮らす子ども達にとって大きな存在である現場職員。職員それぞれに強い想いを抱き、子ども達のニーズに応えるべく最善を尽くしている職員は、時に大きなやりがいを得られる特別な職業です。人それぞれに個性があるのと同じく、児童養護施設も個性があります。自分に合った施設を選び、双方が理解し最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、応募前のポイントをしっかり捉え、採用試験に臨むのが大切です。
子ども達に最善のケアができる様、後悔のない選択ができると良いですね。
コメント