アウトドアで育む自己肯定感!−児童養護施設でのメリットについてご紹介!

児童養護施設 アウトドア 魅力

ゴールデンウィークや夏休みで外せない旅行。その大定番といえばキャンプを始めとしたアウトドア活動です。都市部の施設では非日常的な環境で見る子ども達の姿はとても新鮮で、自然環境の多い施設においても、特別なシチュエーションで発揮する子ども達の活躍に、成長を感じる瞬間が多いです。今回は、児童養護施設の子ども達にこそ勧めたい、アウトドア活動のメリットについてご紹介します。

児童養護施設におけるアウトドアとは

児童養護施設におけるアウトドア活動は、日常の休日では経験できない特別な時間です。足から感じる土の感触、高層ビルのない広々とした空、風以外の音のない静寂な時間、当たり前のように過ぎる自然の時間は、新しくも懐かしい世界が広がり、そこにいるだけで癒やされます。癒やしだけでなく、自然の中で行われるアクティビティは、限られた環境の中で暮らしてきた子ども達の新しい可能性を発見し、無言で自らを受け入れてくれる自然環境は、ときに自己肯定感を高めてくれます。

山間部や沿岸部など、近隣に豊かな自然が少ない施設では、移動で1時間以上を要したり、活動における予算を捻出するなど、一般家庭ほど多い頻度では行けませんが、傷を負い癒やされるべき子ども達に必要な環境であり、新しい自分の発見にも繋がる、とても有意義な空間が自然環境です。

児童養護施設 アウトドア 魅力

アウトドア活動の魅力

魅力①:新しい発見の連続

私の務める児童養護施設は、比較的都市部に位置しています。私自身、登山やキャンプ、渓流釣りなどを趣味にしているので、チャンスがあれば子ども達と自然豊かなフィールドに足を運んでいます。

私が連れて行く自然は決して美しいだけではないのが定番で、ちょっとした滝を攀じ登ったり、吸血ヒルに血を吸われたりと、焚火を見つめてキャッキャウフフなんていう楽しさが皆無な時もあります。でも、大きなヒキガエルが沢を泳いでいたり、普段見れないような植物があったり「こんなの登れないよ」と思った滝を登れたりと、子ども達は自然の中で新しいモノや自分を発見、吸収して世界を広げていきます。

それは自分にしか感じられない素直な感覚で「こんなのがあったんだ」「ここ行けたんだ」と嬉々として語ってくれる姿を見ると、新しい発見、経験を経て磨かれていく子ども達の自己肯定感を感じます。

入所前は閉鎖的な環境に身を置いていた子ども達にとって、新しい世界、刺激的な体験を与えてくれる自然の世界は、とても魅力的です。

魅力②:役割分担

日常生活で協力的な動きが苦手な子どもも、フィールドに出ると積極的に活動に参加してくれます。

キャンプにおける役割分担は、初めはこちらから決めることがあります。子どもそれぞれの個性や可能性を考慮したり、その子が今回のキャンプで何を学んでほしいかなど、色々と意図して決めます。年長の子には大事な火熾しやテント設営、重たい薪広いをお願いしたり、小学校低学年の子には米研ぎや切りものといった調理といった、年齢も考慮したりします。

普段は温かい家があり、家電を使えば手間をかけず技術も必要なく、誰でも生活できる環境が整っており、宅配をすれば何でも届く。そんな便利な環境から離れ、自分がやらなければ皆が困る時間を体験することは、これまで自分という存在を否定され続けてきた子ども達にとって、自分という人間の価値を見出し、時に居場所を見つけていくことは大きな自信に繋がります。

児童養護施設 アウトドア 役割分担

魅力③:自己決定力

自然環境では自分で考え、決定していく場面に何度も遭遇します。炊飯中の米を火から離すタイミング、テントを設営する場所、飛び込める深さの川かなど、保証されることが何もない中で頼れるのは、自分の経験と決断力です。

時に失敗することもあるけれど、失敗を重ねていくことで成功の精度が増していき「これなら大丈夫」と思える瞬間に辿り着いた時の子どもの自信に満ち満ちた顔は一皮むけた成長を感じます。

誰を責めることもせず受け入れ、自分の糧にしていく過程は、アウトドアで得られる貴重な体験です。

家庭環境で養育者の一方的な圧力の中に身を置いていた子ども達にとって、自分で考え決定し、それが否定されず、経験として蓄積されていく体験は、これ以上ない前向きな体験となります。

魅力④:殺生

キャンプ中は魚を釣ったり、山菜を採ることがあります。自身が生きるために生物の命を絶ち、自分の命へと繋げていく感覚は、自然環境ならではの特別な体験です。食育の観点からも大切な時間で、年齢や入所背景に応じて、問題ないお子さんにはこうした場を持つようにしています。

児童養護施設という関係上、自身が日々経験している本当のサバイバルな環境は提供したことはありませんが、放流で釣った魚を捌き、調理する過程を経験してもらっています。「かわいそう」と言って思い悩む子もいれば、魚を食べるのが好きな子は躊躇せず捌くなど、個性があります。体験後の感覚にも寄り添いフォローすることも含め、自然環境における生き物の殺生は、帰宅後の食事を始めとした生活の随所で子どもの成長を感じることがあります。

児童養護施設 アウトドア 調理

魅力⑤:仲間意識

短い時間ながら、助け合いながら過酷な環境で過ごしていくと、自然と子ども達の中で仲間意識が芽生えていきます。普段は声をかけることすらなかった相手に手を差し伸べたり、「こっちだよ」と正しい道を教えたり。今まで活動中に仲間を見捨てた子はひとりもいませんでした。

活動を終えた後は、厳しい環境を乗り切ったという成功体験を共有することで、日常と遊ぶ友達とは違う、仲間という感覚が生まれ、活動を終えた後の子ども達の顔はどこか柔らかく、それぞれを称え合う姿はとても嬉しく感じます。

児童養護施設 アウトドア 沢

アウトドア環境を提供するには

十分過ぎる準備を行う

現地の下見、当日の荷物、実際に体験してシュミレーションしておくなど、自然環境での活動には十分過ぎるほどの準備と計画が必須です。

それは、生命の危険に晒されるリスクが高いという点もありますが、豪雨や野生動物の襲撃など、予期せぬ事が起こるのが自然環境です。予期せぬ事態が起きても対処できるよう「こんなにやる?」というほど準備するのが良いです。

児童養護施設 アウトドア 野生動物

経験ある先輩方と実行する

新任の職員さんがいきなり担当となって自然環境での活動を提供するにはリスクが伴います。それぞれに個性、特性があるお子さんが生活する児童養護施設において、特別な配慮、準備をもって臨むことが必要になるため、必要な技術を持ち、アウトドア活動の企画、実行を経験している先輩職員さんと共に取り組んでいけば、一定の安全性は保たれます。

研修・講習会に参加する

外部になりますが、アウトドアに関する外部機関の講習や研修、民間資格の取得などもおすすめです。子ども達を安全に楽しい環境を提供するために正しい知識や技術を持っておけば、現地でのトラブルにも柔軟に対処できたり、今後の後進育成においても有効です。

外部イベントを利用する

施設で行くキャンプやハイキングなども良いですが、マリンスポーツや宿泊を伴う登山など、敷居の高い内容を提供したいときは、ツアー会社や子ども向けイベントを開催している機関に応募、参加するのも良いです。専門的な技術を持っている方々の中での実施なので安全性も保証されています。

自身の経験を生かす

児童養護施設で働くことにおいて、アウトドアに関する知識や技術は必須ではありません。とはいえ、アウトドア経験豊富な職員が提供する活動は、より意図的な濃厚な経験ができ、危険性も熟知しているため安全の配慮も質が高いです。

私も自身の経験の中で安全に提供できる範囲で企画しています。もちろん、企画の承認は施設を通し、行き先はキャンプ場や整ったハイキング道があったりと、十分に配慮を行った上で実施します。

アウトドア環境で素敵な時間と成功体験を!

癒やしでありながら刺激的な環境を子ども達に提供してくれるアウトドアの世界。上手くいくことだけではないけれど、失敗を重ねて得られる成功、自分だからこそ出来る役割、過酷な環境を皆で乗り越える仲間意識、時に殺生をして繋いでいく生命など、児童養護施設という守られた環境から飛び出した自然という世界は、子ども達の成長と新しい可能性を広げてくれます。

安全を十分に配慮しながら、子ども達と素敵な時間を過ごし、成功体験を共有してくださいね。

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児童養護施設職員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

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