児童相談所と児童養護施設−機能と連携についてご紹介

児童養護施設 児童相談所 連携

児童養護施設にとって、切っても切れない関係にあるのが児童相談所です。児童の入所依頼からその後のケア、退所に至るまでを共に行っていく児童相談所は、手を取り合えば心強く、上手く連携できなければ子どものケアに大きな支障をきたします。今回は児童相談所の機能と、児童養護施設との連携についてご紹介します。

児童相談所とは

児童福祉法第12条のもと、各地に設置された行政機関です。その名の通り、子どもに関する相談を始めとした各種業務を行っており、非行、障害、養護に関することなど多岐にわたります。この他、一時保護所を持ち、子どもと家庭での生活が困難となった場合、一時的にお預かりする機能も有しています。

児童養護施設との業務

入所依頼

一時保護所にいる子ども達で、その後も家庭での生活が困難となった子どもの行き先として児童相談所で検討した後、児童養護施設へ入所依頼がやってきます。

入所までは、子どもとの十分な面会、交流を通し、自身で判断できるお子さんには、自己決定のもと入所を決定するなど、児童養護施設側も、どの居室が良いか、ご兄弟で入所する場合にはどうするか、入所期間は長期になるかなどの評価をした上で、お子さんを迎え入れます。

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家庭との連絡調整

児童養護施設が主に子どもの生活ケア、ご家族や退所に向けての気持ちなどに寄り添うとは反対に、児童相談所は保護者との連絡調整を行います。

保護者が利用している他の機関や生活支援課など、保護者と関わっていきながら、家庭引取に向けての可能性を模索していきます。順調に上手くいく場合もありますが、行方不明や関係悪化など、子ども達が家庭に戻るにあたって、家庭側の問題も多く抱えており、児童養護施設がタッチできない領域を児童相談所が担っています。

児童養護施設の後方支援

家庭にいた頃の情報を十分に持たない児童養護施設にとって、子どもをケアしていくには専門技術と環境整備が求められます。例えば箸が上手く使えない時、これが発達の問題か、それとも家庭での養育環境が問題なのかを判断する際、心理判定や家庭環境に関する情報を提供してもらうなど、児童相談所がその役割を担っています。もちろん、子どもの生活が上手くいかない場合だけでなく、前向きな姿や何事も起きていない時でも、些細なことを児童相談所と共有し、子どもが安心、安全に生活できるよう配慮しています。

家庭との交流

家庭引取に向けて、子どもが保護者と再開し、面会や交流を重ねていくというステップがあります。児童相談所は家庭との窓口となります。

児童養護施設は、面会や交流に向けて、久しぶりに会う保護者への緊張感をほぐし、交流後の子どもの様子を児童相談所と共有し、家庭引取に向けての課題を浮き彫りにしていきます。児童相談所も同様で、親御さんの気持ちを把握し、引取に向けての具体的な支援方法やスケジューリングを行っていきます。

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退所に向けた支援

子ども達は行政による措置という形で児童養護施設に入所しています。退所をする際は措置解除となり、行政手続きを行うことはもちろん、児童相談所が対応できる年齢であれば継続支援、そうでない場合には関係機関に引き継ぐなどの業務を行います。

児童相談所との連携に必要なこと

信頼関係

児童養護施設、児童相談所、双方の役割を理解し「この施設になら預けられる」「ここは児相にお願いしよう」と、絶対の信頼を置ける関係であることが何より大切です。

時に子ども、家庭を真剣に支援するがあまりぶつかることもありますが、互いの立場があるからこそと理解し合え、そして手を取り合える強い信頼関係は、大人の世界の関係をよく見ている子ども達には「この人達は信用できる」と、ケースワークにおける安定感は大きく変わってきます。

素早い連絡共有

子ども達の状況は刻一刻と変化しています。毎日生活を共にしている児童養護施設職員は些細な成長にも鈍感になりがちですが、定期的な面会や有事の際を除いては、入所後は子どもとのコミュニケーションが減少する児童福祉司さんには、些細な情報も共有しておくのが良いです。

私は定期的な進捗状況の共有を行っており、ちょっとした言動や変化を元に、支援目標に達するための軌道修正を行うこともあります。

もちろん有事の際の迅速な連絡も欠かすことはせず、自治体によって差はあると思いますが、大変多くの子ども達を担当している児童福祉司さんにとって、子ども達の些細な情報は家庭支援にとっても大きな利益となることがあります。

機能を理解する

児童養護施設も児童相談所も、機能や人的・時間的資源に限界があります。今できる限りのことに全力を尽くす事が子ども達に関わる機関の務めであり、これを越えると今ケアしている子ども達への対応が散漫、もしくは不十分になります。

両施設とも児童、またそれに関わる家庭支援のためのものですが、それぞれの機能と業務を把握することで、互いの信用とパフォーマンスを落とすことなく連携できます。

これからの児童養護施設と児童相談所

児童養護施設と児童相談所、機能には限界とはありますが、この限界を広げ、子ども達に本来提供すべきケアを実現していくのも、両施設の役割です。

一般家庭が負担して子どもに提供するもの(自転車、スマートフォンなど)が平等に提供できていない、自立支援に関する年齢制限撤廃に関して、現実的な対応の限界や実現に向けての課題を抱える各自治体もあります。また各一時保護所の許容を越えた人数を保護している現状もあり、一部機能の民間委託の必要性など、こうした問題を声にして発信し、壁を乗り越えて実現するのもまた児童養護施設、児童相談所の役割です。

児童相談所と連携して子どもと家庭へ最高のケアを!

児童相談所は、児童養護施設とは切っても切れない重要な行政機関です。児童養護施設と同じく、子ども、家庭のための機能を持ちながら業務は多岐に渡り、昨今の虐待相談件数の増加などもあり年々厳しい環境に置かれつつも、子ども達のために尽力されています。児童養護施設とはそれぞれの役割を理解しながら、子どもと家庭、双方にとって利益となるよう連携することが求められています。

子ども達をケアするための仲間、児童相談所と手を取り合って最高の支援環境を作っていけると良いですね。

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北村一樹

児童養護施設職員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

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