児童養護施設の食事!−重要性と提供のポイントをご紹介

児童養護施設のみならず、生きていく上で欠かすことのできない要素であり、1日の大きな楽しみである食事。満足に食事を食べられていなかったり、朝昼晩、規則正しい食生活を送ってこれなかった子ども達にとって、施設で提供される食事は非常に大切です。今回は、食事の重要性と提供方法についてご紹介します。

児童養護施設 食事

児童養護施設の食事とは

児童養護施設では、施設の形態、もしくは方針によって食事の提供方法が異なります。

地域小規模で運営している施設は最も家庭に近く、職員が食材を購入、調理をして提供し、小舎制施設では厨房で調理されたものを各居室に配膳、もしくは決められた食材で決まったメニューを調理します。大舎制となると主に厨房から配膳で、食堂に子ども達が集まり皆で摂るスタイルが多いですが、時に調理の経験を目的として個別に調理することもあります。

時代の変化によって、必要な栄養の摂取から、食事を通して豊かな情操を育むなど目的も変化し、食育の大切さは、適切な養育を受けてこれなかった児童養護施設の子ども達には特に大きなものとなっています。

食事の重要性

一般的な子どもの発達における食事の重要性は、児童養護施設でも変わりません。食器の扱い、手に取った食材の感触、香り、温度感、料理が取り込まれる瞬間など、多くの情報と体験を子どもは食事から得ていきます。

児童養護施設においては「全てを肯定される時間」であり、「生き直し」の時間という、食事から体験する重要性は非常に大切なものです。

私は以前、調理師として働いている時期がありました。遡って調理師学校時代は美味しく食べてもらうための調理技術や健康であるための知識を学び現場に立ちましたが、美味しいものを食べて幸せになって帰ってもらいたい、美味しかったと言われた時の瞬間という気持ちと経験を得られたことは私にとっての財産となりました。

子ども達にも同様で、調理をする人は相手の全てを肯定し、喜んでもらえるよう作ります。それを取り込む子どもが感じる美味しいという感覚と時間は、これまで否定され続け、辛い経験をしてきた子ども達にとって、1日の中で約束された全肯定の時間であり、入所するまでの期間に感じられなかった食事から得る経験を体験する時間です。

どんな食事をしているの?

できる限り一般家庭と遜色のないメニューが心がけられています。私の施設では、主食・主菜・副菜・果物といったバランスの取れたメニューで、カレーやハンバーグ、シチューなどの超定番メニューから、子どもがリクエストした料理が変化球で飛んできます。

時代やそれぞれの好みにもよりますが、特に好まれるのはラーメンとお寿司です。ラーメンは何故好きなのかハッキリした理由は不明ですが、ひとつの器に主食から主菜までが合理的に、かつ美味しく構成されている点に人気があり、お寿司は生物を提供しづらい事があり、外食や特定の日に食べられる希少性と、刺し身の独特の食感と旨味が、子ども達の舌を唸らせているのだと思います。子ども達の「美味い」は表現されない細かな要素が詰まっており、ちょっとした味の変化で「マズッ!」に変わるので、子ども達の嗜好が分かっていくのはとても面白いです。

児童養護施設 食事 メニュー

提供しづらいメニュー

地域小規模であれば予算内に応じて臨機応変なメニューが作れますが、給食調理となるとそれなりに制限がかかります。

随時食材を追加していく鍋物は難しく、お好み焼きや仕上げ調理が居室で必要な場合も同様です。お肉を加熱する際にはスチームで一気に調理をするので、焦げ目をつけたり、より子ども個々に好きな加減で調理をするのが難しかったりと、どうしても個別の調理には制限がかかってしまいます。

施設によっては毎日ではありませんが、特定日に居室での個別調理を行うことで、一般家庭で得られている経験を補完することもあります。

外食

予算内となりますが、誕生日や何かおめでたいことがあった時「たまには良いよね」みたいな時に外食に行きます。外で食べる経験も子ども達にとっては貴重で、注文をという経験をしたり、普段の決まったメニューではなく、自分が食べたいと思ったものを好きなだけ食べられる幸福感を味わうのに外食はとても大事な支援方法です。

お店まで行くまでのワクワク感、食べ終えて帰る時の満腹感を見るのが、私の楽しみです。

焼肉やしゃぶしゃぶといった一手間を加える工程のお店が好まれ、育ち盛りの世代ともなれば、職員が会計額に怯えることのない食べ放題が子ども、職員双方に需要があります。

食事提供のポイント

ポイント①:温度

手作り、配膳問わず、提供時には温かい、もしくは冷えたものを用意します。温度でいうと、体温から±25度位が良いです。温度がそこまで変化しないものから配膳していくと、大人数でも温度が上下せずに済むので、盛り付けの段階から意識していくのがおすすめです。

電子レンジを活用する手もあり、品数が多かったり状況によって使うことがありますが、水分が蒸発してしまったり、食材が当初の食感を失う可能性もあるので、あまり影響が少ないもので使用するのがポイントです。

子ども達の中には、冷えたものでも大丈夫と言う子もおり、養育環境や子ども達それぞれの嗜好で好みの温度が変わります。支援方針決定のための要素であり、在宅時の養育環境を把握する手助けともなるので、気に留めておくと良いです。

ポイント②:盛り付け

センスや経験、知識が問われるのが、この盛り付けです。見た目を綺麗に盛り付けるのはもちろんのこと、子どもが食べやすくするための工夫も、この盛り付けに詰まっています。

私の場合、生姜焼きに添えるキャベツの千切りは生姜焼きの下に敷いて、肉汁がキャベツに染み込んで一緒に食べれるようにしたり、鶏肉のソテーで皮に焼き目が付いていなければ、バーナーで炙ったりと、時々「そこまでする?」と言われることもありますが、画力が倍増し、子ども達からは好評です。

児童養護施設 食事 盛り付け

ポイント③:出来立て

配膳の場合は難しい点ではありますが、出来立てを提供することは食欲をかき立て、食べ終えた時の幸福感も得られます。

調理された食材は時間が経過するごとに食材の成分が変化し、食べ頃の時を過ぎてしまうと食感、風味、水分量などが損なわれてしまいます。温め直しても戻るわけではないので、一番美味しいタイミングで提供するだけで、子どもの反応も変わってきます。

職員調理の場合は出来立てを提供しやすいですが、配膳の場合は調理部門と検討し、子どもの生活(入浴後や全員帰宅できる時間帯など)に合わせてできる限り調整するのが良いです。

ポイント④:食器

統一感のある食器、口当たりの良い素材、メニューに合わせたカトラリーを選ぶなど、食器選びは料理の美味しさを引き立てる重要な要素です。

組み合わせを考えるとキリがないですが、手に持った感触、舌や唇に触れた時の温度感、重量感、料理が際立つ色やデザインなど、考える要素が沢山あります。幼児さんの場合は扱いやすさもより考慮すると良いです。まずは自分の直感で選んでみたり、関連書籍を見て選ぶのがおすすめです。

児童養護施設 食事 食器

これから望まれる児童養護施設の食事

各施設の方針、施設形態、地域によって色は変わってくるかと思いますが、食事から行うケアはより理解が求められ、知識、技術も合わせて必要になってきます。

全食とはいわずとも、一部現場職員からの調理を行ったり、それに伴う調理技術の習得、栄養に関する知識の獲得、個別の支援計画に対応した意図した食事の提供など、これまでも行われてきた部分もあるかと思いますが、より専門性を高めることでケアの質は上がり、子どもの利益を追求できるようになります。

また児童養護施設は従来の施設から小規模化の流れがあり、これらの調理技術の獲得、知識の習得は今後加速化され、児童養護施設職員にとって必須の基礎知識といえるのではいかと予測します。

美味しい食事で子ども達に幸せな時間を!

子ども達にとって食事とは自身を肯定され、皆と「美味しい」という気持ちを共有できる大切な時間です。調理から盛り付け、食事中の時間まで、食事から得られる経験は非常に豊富であり、今後も欠かすことの出来ない子どもをケアしていくための要素です。

職員にとっても子ども達への想いを表現する大切な食事。子ども達と楽しく、幸せな食卓を囲んでくださいね。

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北村一樹

児童養護施設職員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

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