放課後等デイサービス-児童養護施設との連携とメリットをご紹介!

児童養護施設 放課後等デイサービス

児童養護施設は施設単体だけでなく、他の機関と連携しながら子ども達をケアしています。複数の場所と関わることで、子ども達の可能性はより広がり、居場所が作られていきます。今回は児童養護施設が連携する施設の一つ、放課後等デイサービスについてご紹介します。

放課後等デイサービスとは?

児童養護施設 放課後等デイサービス

6歳から18歳までの児童を対象としたサービスで、分かりやすく言うと、発達障害児向けの学童保育といったサービスです。通称「放デイ」と呼ばれるこのサービスは、行政が必要と定めたお子さんが利用でき、いわゆる身体障害者手帳や療育手帳の所持を必要とせず、代わりに受給者証が必要となります。

学童保育の様なアットホームな雰囲気から、学習塾のスタイルを取っているところなど、地域や運営母体によって様々なスタイルがあるのが特徴です。

サービスのスタートから10年近くが経とうとしていますが、比較的新しいサービスとして、社会生活におけるハンディキャップを持つ子ども達と家庭から、居場所として、また将来の自立に向けてを目的とした施設として、沢山の事業者が展開している領域です。

どんな子が通っているの?

事業所によって様々ですが、学習にハンディを持っている子、軽度の発達障害を抱えた子、肢体不自由のお子さんなど、本当に多様なお子さんが通っています。同じ事業所内に区別なくお子さんを迎え入れている事業所があれば、自力移動困難や障害の程度が重たい子向けに事業所を分けているなど、様々です。

何時までやってるの?

放課後等デイサービスは、平日は学校が終わっての放課後、休日の場合は朝から夕方までといった時間帯でお預かりしているところが多いです。

どうやって通うの?

直接事業所に子どもが向かうこともありますが、学校や自宅まで送迎に来てくれるので、道中の安全がしっかり保証されて利用することが出来るのでとても安心です。

どれくらい利用できるの?

利用出来る頻度は、放デイを利用する前に取得する受給者証によって決まります。例えば月に12回(週3回程度)と決まったら、その日数分、事業所を利用することができます。

ただし、事業所にも曜日や月ごとで空き状況が異なるので、場合によっては希望の回数、もしくは曜日に利用できないこともあります。

サービスはいくつ利用できるの?

特に制限はなく、複数を選ぶことが出来ます。一つの放デイだけでなく複数利用することで、子どもとの相性が良い方を次第に選ぶことが出来たり、経験できること、友人の輪を広げたりできるメリットがあります。とはいっても、慌ただしく色々利用するより、その子にとって負担なく、前向きに活動できるペースが作れると良いです。

児童養護施設が放課後等デイサービスを利用するメリット

児童養護施設 放課後等デイサービス

メリット①:子どもの発達に合わせた環境の提供

児童養護施設には豊かな個性を持った子ども達が多数暮らしています。社会適性が高い子もいれば、なかなか馴染めず苦悩している子もいますし、一般級に在籍している子と個別支援級に在籍している子では発達に差も生まれるので、同じ環境で同等で遊ぶには難しいこともあります。

自分達で環境を切り開いていける子であれば良いのですが、大人のサポートが必要な子がいる場合、個々に合った環境を提供する必要があります。放課後等デイサービスは、これまで児童養護施設職員が悩んでいた、ハンディキャップを持つ子に合った環境の提供として、とても嬉しいサービスです。

私の施設では数名のお子さんが利用しており、それぞれにピッタリの事業所で、体を動かしたり皆で仲良くおやつを食べたりと、放課後や休日を楽しく過ごしています。

メリット②:子どもの居場所として

私が初めて放課後等デイサービスを利用した際、一番の目的はこれでした。とても元気で笑顔を振りまいている子でしたが、皆と楽しく遊べず、いつもひとりぼっち。職員も一緒にいてあげたいのですが、他の子と過ごすことも考えると、そうはいかない現実もあり、この子の居場所を作ることが大きな課題でした。

放課後等デイサービスを利用して、友達ができ、今日は何をしようかと少し先の未来が待ち遠しくなる子を見て、ひとつの居場所ができたのだと嬉しく感じています。

メリット③:評価の場として

成長を常に評価し、子どもにとって最善の利益を追求する児童養護施設にとって、現場職員や施設内だけでなく、他施設からもらえる評価というのは、自分達が知らない子どもの一面を知ることでより立体的に子どもを認識することができ、日々の支援に大きく役立てることができます。

「施設では内気だけど、放デイでは活発で社交的」「遠足で行った遊園地がとてもハマったらしい」など、些細なことから核心をついたことまで、子どもの姿を知れるのはとても大切です。

これからの放課後等デイサービスと児童養護施設

児童養護施設 放課後等デイサービス

全国的に見ると、児童養護施設が放課後等デイサービスを利用するというのは、まだまだ事例としては少ないように思います。正確な統計が取れていないので児童養護施設が放デイを利用している割合も分かりかねますが、同じ子どもを支える施設として連携を取っていくことで、相互にとってこれまで以上の利益が生まれるのではないかと考えます。

子どもの居場所作り、自立を支援する場としてだけでなく、現場の情報を共有し合うことで、より高いサービスを提供することもできます。障害に特化したスキルを持ち、業務をしている放デイの情報があれば、多様な子ども達を受け入れる児童養護施設にとっては、大きな力となることは間違いありません。

放課後等デイサービスから見ても、新たな需要の発掘、児童養護施設と連携することによって施設の意義はより高まり、職員の育成という点でも児童養護施設と連携を図ることで、より充実した人材開発が行えます。

放課後等デイサービスを利用して子どもの可能性を広げよう!

児童養護施設 放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、ハンディキャップを持つ子ども達が利用するサービスです。居場所として、大人になるための場所として、放デイが掲げる目的は児童養護施設の子ども達にもマッチし、今後の連携に期待が高まっています。互いのメリットを理解し連携していくことで、子ども達が抱える問題を解決し、より良い生活を提供していくことが可能になります。

施設の壁を越えて連携し、子どもの健やかな未来を提供していくことを期待しています。

北村一樹

神奈川県の児童養護施設で働く家庭支援専門相談員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

関連記事

最近の記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP

児童福祉メディアをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む