【子どもの支援】ケアに行き詰まったら-子どもの歴史を辿ることで見える解決方法

児童養護施設 生い立ち 歴史 ケア 支援

現場職員として働いていると、時折見せる子ども達の姿に迷うことがあります。いつも優しかった子が学校で喧嘩、天真爛漫な子が万引き、大人しかった子に言われる心無い一言。担当職員としてはとてもショッキングで、その場の対応で精一杯な時もよくありますよね。でも、子ども達の姿の背景には深い理由と歴史が関わっています。今回は子ども達の歴史を辿ることの大切さをご紹介します。

問題行動の背景

背景①:生い立ち

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子ども達が突然起こす問題行動の背景として考えられるのは、その子が育ってきた養育環境が考えられます。

養育者からの暴力、ネグレクト下における生活、性的暴行を受けたり見ていた。安心で安全な施設での暮らしでも、ふとした事で当時の生活が思い出され、子ども達に辛い現実として目に見えない重圧としてのしかかります。

安心で安全であればこそ、当時は自然に受けてきた行為が不自然なものとして表出してきます。それが行動として表出されますが、時には子ども達しか知り得ない当時の行動がきっかけとなることもあり、毎日交わす些細な言動に在宅当時のエピソードが隠されていることも。

背景②:特性

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入学当初は楽しく通えていたけど高学年で不登校になる、施設内では喧嘩が絶えない、説明したはずなのに覚えてないと言う。幼少期に入所して在籍が長い子や、中高生で入所までの情報が少ない子に起こりやすいこうした状況は、子ども達が持つ特性が背景という場合が考えられます。

能力にばらつきがあったり、集団行動が苦手だったり、聴覚優位で視覚的な捉えが難しいなど、子ども達の正確な力を把握出来ていると解決出来る場合が多く、子ども達が自身で苦手意識を発信してくれる場合は発見も早いですが、そうでないことが大半です。テストの結果や個人面談での共有、ユニット間の情報共有など、持てる情報を網羅することで子ども達の特性が見えてきます。

背景③:血縁者からの遺伝

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特性でも養育環境でもない場合、何が原因か行き詰まることがあります。そんな時に調べてみると良いのが、実母、実父といった保護者の情報です

10年ほど児童養護施設で勤務していますが、ご両親の若い頃のエピソードや思考を聞くと「めちゃくちゃ似てんじゃん」と思うことが良くあります。というより、必ず似ています。数年ぶりに再会する保護者に子どもと一緒に面会したとき、顔立ちから性格まであまりに似すぎて腰が砕けそうになったこともありました。

コミュニケーションが苦手、浪費癖がある、依存体質など、何気ない姿だけど支援の必要性を感じたとき、それが血を受け継いた両親からのものであるかどうかは、実はとても大切な要素です。

何故行き詰まるのか

情報不足

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ケアに行き詰まりチームが悩んでしまう時は、圧倒的な情報不足が考えられます。

虐待のエピソード、学校での活動状況や成績、休日の施設外での活動、子どもの特性など、何かヒントとなる情報があれば支援の糸口が見つかりますが、情報が無ければ判断することができなくなります

こうした状況に陥りやすいのが、幼少期から大きな問題行動もなく一見して良い子に見えるタイプの子どもに起きやすく、情報量が少なく、日々の関わりでも職員の感度が低くなりやすいです。時が経つと問題が溢れ対応が遅れやすくなるので、何も無いから大丈夫ではなく、何故こんなに良い子に見えるのか、と疑問の視点で常に情報を入れ続けることが大切です

分析と評価

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何故起こったかという分析を迅速かつ丁寧に行い、分析に基づいたケアを通常であれば行っていきますが、ここに綻びが出ると行き詰まることがあります。

情報ではなく経験や勘だけで判断してしまう、実行した対応を振り返らず放置してしまう、短期策と長期策を用意せず、目の前の行動の対処だけで終えてしまうなど、問題解決のプロセス自体に抜けがあると、要因が発見できず子どもにストレスだけが残ってしまいます

PDCAの理解や適材適所による実行など、ケアの仕組みづくりをしっかり行っておくとこうした問題は起きにくいです。

機関連携と意識共有

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子どもは施設だけでケアしているのではなく、児童相談所、教育機関、地域、医療など、多くの人、機関が関わって支援されています。

ケアの中心である施設が構築した支援目標、日々の子ども達の姿など、新鮮な情報共有を行うことで何気ない行動にも疑問を持てるのですが、共有が成されなければ通り過ぎて残されていく情報が存在します。こうした情報が共有されれば未然に防げる状況もありますが、問題が発生した時情報が伝わっても、時既に遅しとなってしまい、貴重な情報が無駄になってしまいます。

情報が提供されず行き詰まらないよう、定期的に関係各所に支援目標や意図をしっかり伝えておくと良いです。

行き詰まらないための対応策

子どもの歴史を見直す

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最も効果的な方法として、子どもの出生から現在までの生い立ち、ご両親の情報、関わってきた機関など、血大小様々な情報を全て見直すことです。

入所時に聞いた情報も、時が経てば担当者であっても失念することはあります。入所当初は気に留めていなかった情報が、実はケアにするにあたって非常に重要なものであったということは珍しくありません。

散らばった情報を年表として作りまとめておけば、チームで共有して問題に対する原因発見も迅速に行えます

関係各所と共同で振り返るのも良いですね。

些細なことでも共有する

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日々記録している情報だけでなく、記録していないけど「こんなこともあったんですよ」と口頭で話す共有した情報がきっかけで効果的なケアが実行できることもあります。

些細なことでも情報共有が出来るよう、チーム内の良好な関係、関係機関とも不要な壁のない繋がりを持っておくことが大切です。

上手くいっても振り返る

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施策が功を奏した時「めでたしめでたし」で終わることがありますが「何故上手くいったのか」という視点で振り返ると、今後発生するであろう子どもの課題に早期に気づき、対処できるようになります。

不登校の子が勉強が苦手なので宿題を減らしたら登校するようになったという経過があれば、勉強の負担が減ったからか、それはどの科目なのかを整理しておけば、次は心理判定を実施して継続的な登校支援や自己受容に繋げられるといった対応が可能になります。

子どもの歴史を振り返ってより良いケアを

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子ども日々沢山の姿を担当職員に見せてくれます。素敵な一面からケアが必要な面など沢山ありますが、その行動の背景には、子どもの生い立ちから歴史まで、非常に多くの情報が詰まっており、この情報を紐解くことで子ども達のより良いケアが可能になります。

子ども達の歴史をチームで振り返り、行き詰まることのない最高のケアが実施できると良いです。

北村一樹

児童養護施設職員。普段は子ども達の生活をサポートし、休日はライフワークである山に入っています。

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